about
「森へ行く日」は三重の山あいの林業の町、大台町にある工房です。その町に広大な山林を所有するトヨタ自動車のバックアップを受け、木工作家の吉川和人との協働プロジェクトとしてスタートしました。 「森へ行く日」の取り組みは、その山林の木を使って事業を興し、地域を活性化させたり、学校や工房でワークショップを行い、自然や木に親しんでもらうことを目的としています。 ◾︎「森に行く日」と「ユネスコ生物圏保存地域」について トヨタ自動車の山林や工房、また町を流れる宮川の源流域である大杉谷を含む大台町全体は、ユネスコが指定する「生物圏保存地域」と呼ばれるエリアの中にあります。 ユネスコの「世界自然遺産」が厳格な保全のみを目的とする一方、「生物圏保存地域」は、保全しながら自然資源を利用し、地域の持続可能な発展を目指すモデル地域となります。 地域は大きく保全ゾーンと利用ゾーンに分けられています。トップページの大杉谷などの奥地の保全ゾーンでは、生物多様性の保護や、学術対象となる希少な原生の自然が守られているのと同時に、里に近い利用ゾーンでは、自然資源が生活や経済活動に役立てられることが推奨されています。 トヨタ自動車の山林は、利用ゾーンに位置し、もともと建築用の材料として大量に植えられた杉やヒノキの森になっています。しかし、近年は建築材としての需要が下がり、その森の用途は新たな可能性を探るタイミングに差し掛かっており「森へ行く日」はその取り組みの一つとなります。 ◾︎ミラーやワークショップキットの制作について 川の石の曲線にヒントを得た「宮川ミラー」は、曲木に向いているヒノキの特性を生かしてデザインされました。その他の一連のミラーシリーズも含め、試作やデザインは「森へ行く日」の工房で吉川が行い、制作は丁寧な加工や仕上げを得意とする地元額縁メーカーの三重額縁さんが行っています。 樹脂製のフレーム材を輸入して切って繋げる額縁メーカーが主流となっているなか、三重額縁さんは、1946年の創業以来、木のフレームとハンドメイドにこだわり、全行程の加工と仕上げを自社内で行える技術を持つ全国でも稀有なメーカーです。第二次世界大戦が終わり、地元にある豊富な木を使って平和なものが作りたい、ということで創業された素敵な会社です。木を扱う上での豊富な知識と経験、また曲木の技術が必要だったこのミラーのシリーズは、他のメーカーとでは実現し得なかったと言えます。 またワークショップで作ることができる「杉のなんでも箱」は地元の杉を使ってキットを作っています。杉の軽さと加工しやすい柔らかさが生かされ、子供でも楽しく作れます。その他の製品やワークショップのキットなども、トヨタ自動車の山林や周辺の三重の山から出された木を使い、吉川や地元の木工職人によって「森へ行く日」の工房で作られています。 ◾︎売上金の寄付について トップページの美しい川の写真は、保全エリアの核心部である大杉谷の登山道から宮川の源流を撮ったものです。 この原生の自然の光景を美しい感じる心は、改めて人間は自然の一部であることを気づかせ、自然との共生への道標となってくれると思っています。この光景がこれからもずっと享受できるよう「森へ行く日」は願っています。 「森へ行く日」の製品やワークショップでの売上の一部は、公益社団法人 大杉谷登山センターに寄付され、希少な動植物の保護、登山道の維持管理などにあてられます。